- 取締役社長
- 廣井 秀俊
私の父は大工でした。口数は少なく、まさに職人の中の職人でした。実家は大きな工務店だったため、地方から出てきた大工志望の若者が、いつも我が家に、住み込みで働いていました。<仕事は見て体で覚えろ>という、厳しい職人の世界です。弟子には怒鳴っても、私は父に怒鳴られたという経験がありません。親方である父と弟子である若者の関係が、なぜか、羨ましくもありした。しかし、私は家業を継ぐという意思のないまま、大学を出て、サラリーマンになりました。ただ、物づくりが大好きだったので、いつかは父と一緒に仕事をしてみたいという気持ちはずっとありました。いよいよ、家業を継ぐ時期が来ました。一緒に仕事をすることの条件は<建築士の資格を取る>ことでした。昼は現場で働き、夜は、資格を取るため、専門学校へ通いました。
しかし、私は家業を継ぐという意思のないまま、大学を出て、サラリーマンになりました。ただ、物づくりが大好きだったので、いつかは父と一緒に仕事をしてみたいという気持ちはずっとありました。いよいよ、家業を継ぐ時期が来ました。一緒に仕事をすることの条件は<建築士の資格を取る>ことでした。昼は現場で働き、夜は、資格を取るため、専門学校へ通いました。
自分より若い人たちとの勉強は、はじめは抵抗がありましたが、次第に馴れ、それはそれで楽しく有意義な時間となっていきました。28歳でした。ようやく資格を取り、家業も順調に進みました。
今、思えば、その順調さはバブルという時代背景の中で成立していたことでした。その事を、まるで自分の力だと大きな錯覚をしていました。商学部出身の私は、経営の主導権を執り、事業拡大へと野心に燃えていました。根っからの職人の父親を尊敬していたものの、経営は自分でなければ!とそんな、思い上がった気持ちで、仕事に取り組んでいました。
その後、バブル崩壊、世の中も変わり、私は海外へと目を向け、海外での生活が多くなっていきました。そんな中、イラクで想像を絶する体験をしたのです。イラクでは、少しの日本人と沢山の出稼ぎ労働者スリランカ人と一緒に、建築に携わりました。その中での、人種差別。彼らは奴隷でした。最初は、悩み、戸惑っていた日本人も、そんな状況に次第に馴れていくのを目のあたりにし、言いようのない、虚しさが込み上げてきました。一人のスリランカ人が私に訴えました。「われわれも、日本人も、切れば、赤い血が流れる、同じ人間ではないか!」と。祖国に残した家族の写真を見せ、涙ながらに話すのです。生きるとはどういうことなのだろうか。
海外での生活は、今までの自分の考え、価値観を大きく変えました。お金では買えないものは沢山あります。生きることに対し、その時から少し謙虚になれた気がします。気がつけば、どこにいても、いつも建築の仕事に携わっている自分がいました。今もこのように仕事をさせてもらってます。あらためて、父親の背中を見てきた自分がいたと感じずにはいられません。
昨年、アスベストの問題が大きく取り上げられました。40年前にアスベストに関わった方々が今も健康を損なわれ続けているという事実。工務店である私の家は、まさにアスベストの中での生活でした。その後も、沢山の工事をした私は、正直怯えています。それでけではありません。シックハウス・化学物質過敏症さらに、環境ホルモンによる多くの問題を知れば知るほど、このままではいけないという気持ちが強くなってきました。
今、小学生の半数近くが、アレルギー体質だと聞きます。また少子化の問題もあります。 環境ホルモンでのメス化も叫ばれています。男子の精子が大変少なくなって、赤ちゃんがほしくても出来ないという事実もあるようです。 身近では、3名の女性が<赤ちゃんできて、胎盤はあるのに、その中に、赤ちゃんが存在していなかった>という事実もありました。それらは、環境ホルモンが影響しているようだ・・・と知ったときの衝撃は大変大きかったです。その環境ホルモンを出しているのが、新建材をはじめ、様々な化学物質とは。工事は、安い値段で、しかも、短い工期で完了させることが価値のあることなのだと信じて疑わなかった時代でした。その結果、先に述べたような現象を、引き起こしてしまったのだとしたら、もう一度、建築の原点に戻ってみたい。そんな、強い気持ちに駆られました。
しかし、その想いだけのまま、日々の生活に追われ、時間だけが、3年4年と過ぎていきました。きれいな空気、水、健康な体は我々が子孫へ残していかなければなりません。使命だと強く感じています。勉強すればする程、難しい問題は山積しています。だからと言って、このままで良いはずがありません。私は考えました。そして、私の意志を社員に伝えたのです。幸いな事に、社員は一緒に勉強していこう!と言ってくれました。自己啓発なしにこの問題には取り組めません。勇気を出して立ち上がりました。心と体と環境に良い住宅づくりの発信地になろうと!お役に立ちたいのです。商品を沢山並べたショールームではありません。自然の素材の中で生活することを感じる、スタジオです。ひとりひとり、あなたが主役です。見る・触れる・そして実際に体で感じて頂きたい、そう考えています。
例えば珪藻土、これは大昔のプランクトンの化石です。100%天然素材の珪藻土を、天井・壁に塗った時の効能と心地良さも、ぜひ体感してほしいのです。興味のある方には、実際に<塗る>という体験もしていただきたいのです。使命に燃えているといっても過言ではないと思っています。
一昨年、相次いで父母が他界しました。寡黙だった父はどんな想いで、このスタジオをみてくれているのでしょうか。<ようやく、人様の事を考える、一人前の建築屋になったな>と言ってくれている気がします。
この地域の方々から、<ホームケアがあって良かったね、このスタジオがあって良かったね>と言って、もらえる会社を目指して、社員と力を合わせて、ますます頑張っていきます。ホームケアの社員共々、今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
ホームケア代表取締役 廣井秀俊




